ケータイ小説 野いちご

クリムゾン・プロトコル

不思議なことにこの兄は、初めて紅未子を会わせた瞬間、不安定な精神を見抜いた。

紅未子が帰った後で、『難しそうな子だな』と気遣うように言ってきた時、もしかしたら、しいて言えばそのあたりが、平々凡々な私たち兄妹の特技といえなくもないのかもしれないと思った。

キャバリアのマカナが、クッキーの匂いにつられてやってきた。抱き上げて、茶と白のつやつやした毛をなでる。


「紅未子ちゃん、表紙だったな。コンビニで見て、ちょっと買おうかと思った」

「ティーン誌だよ。通報されるよ?」

「されるかよ。てか冗談だよ」


テレビを見ながら兄が笑う。


「写真になると案外、普通にかわいい子に収まるよな」

「そうなんだよね」


いつも雑誌を見て思う。紅未子のあの尋常じゃない美しさは、写真だとまったく伝わらない。もちろん、ずば抜けて可愛いし、きれいなんだけど。

あの透き通るような可憐さに、初めて射抜かれたときのことを思い出した。

高校の入学式の日、私は紅未子と出会ったのだ。


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