「君を見てたら年が明けたんだなぁーって実感したよ」


それはつまり、あんたもまだ正月ボケしてるって意味!?


(だったらずっと冬眠してれば?)


クマみたいな人の話をまともに聞いてたら頭にくるから無視した。
そんな私のいるデスクに近寄り、高木さんはビッグニュースがあると話した。


「今度、うちのオフィスに専属のハウスデザイナーが就くことになったんだ。今までは外部へデザインを発注してたけど、今度からはそれをしなくても良くなったって」


「本当ですか!?」


自社の専属ハウスデザイナーがいればいいのに…という話は、オフィスで働きだした頃から囁かれてた。
やっとその念願が叶ったのか…と思い、ワクワクと胸が弾んだ。


「午後に就任式があるから大田さんも出てね」

「…主任、そういう連絡は先に言って下さい!」


上役のくせに伝達力が弱い高木さん。
この人の連絡漏れやミスのせいで、私はこれまで何度となく施主さんの所へ謝りに行ってる。


部下だけなく上司にも恵まれてない。
中間管理職の悲しい性というものを私は身を以て実感してる。

おかげで気の休まる時なんてない。
出勤時から退勤時まで、毎日ピリピリと苛立つ日々ばかり。


仕事始めの午前中は、ゆとりちゃん達のフォローで潰された。
お昼も食べずに働いてたら、就任式は2時からだと聞かされ……