入谷くんはずっと何かをしゃべってたけど、私はちくわ耳のように聞き流していた。

そのまま先に視聴覚室に入る。


そこにはもう他のクラスの実行委員は座って全員がそろうのを待っていた。



「1組よね?これでそろった。
席は自由だから適当に座って」


「はい」



返事をして入ってすぐのところに座る。

と、気づいた。



私の前に座っている人に。

その人も振り返り私を見る。



「伊都も実行委員なんだ」


「うん、気がついたらなってた。
京ちゃんは?」


「俺も、寝てる間に決められてた」



京ちゃんらしいや。

そう思ってクスクス笑う。


私の前に座っていたのは京ちゃんだった。


実行委員なんて嫌だって思ってたけど、京ちゃんも一緒ならして良かった。




「伊都ちゃん、あっちに座ろ」


「え?ここでいいじゃん」


「早く」



私に有無を言わせず、座ったのに無理やり立たせて引っ張られて前の方に移動した。



強引すぎる!