「はぁっ、はぁっ……」

「ほのかちゃん、体調悪いのかい?」



肩で呼吸をするあたしに、おばあちゃんは慌てたように声をかける。


『ベランダに、全裸で1ヶ月放置し、死亡させた容疑で、母親を逮捕…』


脳裏に、ベランダに閉じ込められた時の事を思い出す。

助けてと言っても、男は楽しそうに笑い、お母さんは…目線を反らした。


一番信じている人に、見捨てられた気がした。


「いやぁぁっ!!」


あたしは耳を塞いで、椅子から転げ落ちる。

あの男が近くにいるような気がして、目をギュッと閉じた。


「ほのかちゃん、昔の事は思いだしちゃだめ!」


おばあちゃんの言葉に、あたしは涙が流れる。


「そんなの無理!!そうしたくたって、勝手にあの男が出てくるの!!」


パニックを起こしていた。

おばあちゃんは、あたしを抱き締めて泣く。


「おばあちゃんは、どうしたらいい?ほのかちゃんにしてあげられる事はない?」


「私もっ……どうしたらいいのかっ……わからないよっ…ううっ…」


泣き出すあたしの頭を、おばあちゃんは撫でる。


おばあちゃんが、あたしの見ていない所で泣いてるのを知ってる。