「抱いてもいい?」
「そんなこと…聞かないでっ…」
成宮君のフッと落とした笑みが聞こえた後、カチャカチャとベルトを緩ます音が聞こえる。
「あっ、んーーー‼」
押せては返す快感に、もうどうにでもなれと想うこともわすれる。
でも、それがいけなかったんだ。
私が彼を守らねばいけない立場なのに。
「美羽、気持ちいい…。俺、愛のあるセックスしたの初めてだ」
「…愛のないエッチはしてたの?」
「みーちゃんのヤキモチ妬きなところ、俺のツボ」
成宮君はギュッと抱きしめながらキスをしてくれた。
あんなに触られるの嫌だったのに
今は成宮君に触れられる事に幸せを感じている。
恋愛って、不思議…。
「理人…」
「なぁに?」
「…大好き」
服を整えながら成宮君に背を向けながら呟くと、成宮君はポカンとしていた。
あれ?そんな反応?
「みーちゃん、それ反則。俺、また落ちた」
後ろから抱きしめて頬にキスをしてくれる成宮君の腕を、抱きしめ返した。
離したくない。離れたくない。
この存在がいないと、もう成り立たない。
恋愛は、そうやって欲ばかり出て
私を駄目にする。
だから、無理矢理避けてきたのに
気付いてしまったらもう戻れない。
「理人、離れないでね?何だか…恐い」
「離れられるワケないでしょ。こんなに惚れてるのに」
イケメンで優しい彼に愛されて幸せ過ぎる私に襲いかかる恐怖は、現実のものとなるなんてこの時は想いもしなかった。
「あれ?今日は、成宮君休み?」
そう。
全部、私がいけないんだ。
教師という事を忘れて
自分の幸せだけ考えてしまった私への罰。
その日を堺に何の音沙汰もなく
成宮君は学校に来なくなった。