ケータイ小説 野いちご

君の隣でクリスマスを祝う

 普段とは違う日向の柔らかい雰囲気に若干戸惑いながらも、私はこの時間を心から楽しんでいた。

 新作の話を持ち出せば、きっとこの場が白けてしまう。日向の話は興味深く刺激的で、私の知的欲求をどこまでも満たしてくれる。出来ることなら、この時間を終わらせたくはない。

 どうやって話を切り出そうか考えていた時だった。

「木崎さん、今日は何かお話があっていらしたんでしょう?」

「えっ?」

「編集長から、僕に新作を書かせるように言われて来たんでしょう?」

 日向は、今日私が来た目的などとっくに見透かしていたらしい。

 シルバーフレームの眼鏡の奥で、彼の瞳が鈍く光った気がした。


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