「辛いときは離れてみて、他の子と付き合うものよ?」


誰も他の子と付き合っているとは言っていないのに、

やっぱりお母さんはあたしを見透かしている。




そう思うと、隠し通すのも無理だと思った。



「あたし…、ずっと廣クンが好きで…。

それなのに別の人と…」



蒼斗クンとのキス。

一瞬だけだったけど、凄く解放された。
でもすぐに罪悪感がわいた。


きっとそれは、まだ廣クンが好きだから―…。



「好きならその思いを大事にしなさい?

別の人をこれから好きになるかも知れないし、

彼だって黙っていないと思うわ」


「廣クンが?」

「そうよ。好きな子を簡単に奪われて、そのままなんて…。

ただのチキンだわ」

「ち、チキンて…」



苦笑すると、お母さんは柔らかく微笑んでいた。