「沙彩ね。あんた美少女だから心配だが…これ持って1人で逃げろ」

『あの…お兄さんは…』




男は私の頭を撫で、行け…と玄関まで押された。

 

『お兄さんはご主人様に殴られない?』

男はその言葉に悲しそうに顔を歪ませた。

 

「ご主人様じゃねぇ…!!沙彩は




…自由だ!またな!」

男は急かした。

 




「ぜってぇ後ろ見んじゃねぇ…振り向くな。この地図頼りに行け。…走れ」




『はっ…はい…』

 



私はゴツゴツしたコンクリートの上を走った。

 

『はぁっははぁはぁっ...ははぁはぁっは』




普段走らない身体は子鹿のように揺れながら生まれた家を遠ざかる…。

 

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男「さて、俺もあいつから逃げなくちゃな…」




男は願った。

 俺の後輩たちがきっとアイツを…沙彩を救ってくれると…。