触れた唇の温度。


 風に揺れる彼女の髪。


 潮風に紛れて香る、俺の好きな彼女の匂い。


 照れてはにかんだような、今まで見た中で一番可愛く見えた彼女の顔。


 泳げないこと、不器用なこと。


 ピンクが好きなこと。


 そして、俺色に染まってくれていること。


 笑った顔、照れてる顔、怒った顔、泣いた顔。


 俺が好きなのは、彼女の全部。


 俺たちそれぞれがみる景色は、きっと違うだろう。


 だけど、空と海がお互いしか見ていないように、俺と彼女もそうでありたいと願う。


 見ている先が交わり続けますようにと、静かに願う。


 どうか、この先ずっと、永遠に―――。


                       【end】