小川 まゆに憧れと尊敬の気持ちを抱き始める掬恵。





──ふと、自分の母親が言っていた言葉を思い出した。






『青春時代は、本当に一瞬の間だけで、戻れるのなら、もう一度あの頃に戻りたい──』






その青春時代と呼べる真っ只中に私は今いるわけだけれど、将来の夢もまだ決まっていなければ、……毎日をただ平和に過ごしさえできればいいという甘い考えを持っている。






『勉強に恋愛に打ち込めるのは本当に今だけなんだから、もっとしゃきっとしなさい』と母親が最近になって口うるさく言ってくるけれど。





──私の人生なんだから、ちょっとほっといてよって思う。