「どうしてそんな将来性のない生活をしているんだ」

と、学生時代の友人からはよく言われるのだけれど、

別に悪い仕事でもないと僕は思う。


毎日は、それなりに楽しい。


フロントで受付をしたり、

お客さんを案内したり、

コンパニオンの愚痴を聞いたり。


時々そのコンパニオンとおいしい仲になれたりもするのだから、

風俗店勤務はやめられない。



「えみりちゃん」


耳元で名前を呼んでやると、
隣りで眠っていた女の子のまぶたがゆっくり開いた。


「……んー」

「そろそろ起きないと」

「んん……」


寝起きの焦点が定まらない目で、僕の部屋の天井を見上げる女の子。

最近入店してきた期待の新人だ。


えみりちゃん。
本名は知らない。