心なしか今日の密網が少し乱れているように見える掬恵、斜めにずれていた眼鏡を軽く戻し、自分の席の椅子を勢い良く引き出してドカンと座り、




それから鞄の中から教科書やノートを取り出して机の中へボンボンと順番に入れていく。






しばらくすると、担任の先生が教室に入ってきて挨拶をし出席を取り始めた。







おどおどとした様子の周翼が掬恵の顔色を伺いながら「おはよ・……」と挨拶をした。







掬恵は周翼に挨拶を返さず、自分の筆箱の上に六色の付箋を順番に貼り付けていく。





白、ピンク、赤、黄、青、黒。






教科書や辞書に貼り付けるのに丁度良いサイズの六色の付箋。






掬恵が赤色の付箋を一枚剥がして文字を書き始める。