言いつつ、瑞穂もコーヒーを入れる。



「別に……幸せなんていらないし」



休憩室の椅子に座り、窓の外を眺める。

春の空に輝く眩しい太陽がうざったかった。



「そんなこと言ってたら老けるわよー」

「……それはやだ」



私の向かいに腰を下ろした瑞穂を横目に見て、また溜め息を吐いてしまう。



「もう、彩乃ったら」

「……」

「その様子じゃ、昨夜はあんまりいい時間じゃなかったみたいね」

「いい時間じゃなかったっていうか……」



お茶菓子を片手に、昨日のこと、そして4年前のことを話す。

大まかには教えていた過去のことも、詳しく話すのは初めてで、話を聞いた瑞穂は目を見開いて驚いていた。



「……予想以上にすごい話ね。ドラマみたい」

「黙っててごめんね」