謝りつつも、隆太郎がくれる思いに胸が温かくなった。



「あー……。これで俺等、春から高校生じゃなくなるんだなぁ」

「何よ今更」

「ふと考えたら寂しくなった」



布団を被った隆太郎の声は少しこもってる。

隆太郎は今、どんな顔をしているの?

私と同じかな。

期待と寂しさが入り混じったような、そんな顔。



「……高校生じゃなくなって、お互いに世界が広がってくんだろうね」

「だろうなぁ……」



何一つ変わらないことなんて出来ない。

付き合うことになったときみたいに、傍にいれればいいなんて簡単な話じゃない。



「隆太郎」

「ん」

「残りの時間、目一杯楽しもうね」

「……あぁ」



まだ寒い冬の日。

だけど、春はもうそこまで近付いていた。