思わず顔をあげて見ると、先輩が優しい笑みを浮かべて私を見てくれてて。



「ほんとだよ。俺が好きなのは、藤田綾乃ちゃんだから」


「うそ……」


「うそじゃないよ。部活見に来てくれてるの知って、かわいいなってずっと思ってた。んで実際話したら思ってたより素直で真っ直ぐでいい子だなって思ったんだ」



そんなのって……そんなのって……。


信じられない。


え、なに、これ夢?



「俺と付き合ってくれますか?」



ギュッと握られた手。


真剣な眼差しにまばたきを繰り返す。



「……お願い、します」



なんて言えばいいかわからなくて。


しぼり出すように言うと先輩が「ふはっ!」と、安心したように笑ってしゃがみ込む。


せ、先輩……?



「あー、まじ緊張したぁー……」