一斉に顔を向けるその隙間から見えた、赤い炎と悲鳴。

 重い甲冑で土を踏む音が微かに聞こえた。

 「…戦争って…なんでこんな辺境の地にまで…ここで争っても何も取れないはずです!」

 世界は今大きな戦いを控え、厳戒態勢であることは知っていた。

 私達の暮らす南の国も勿論例外ではないが、ここは南の国の端の端、辺境の地とも呼ばれる地図に名前も載らぬ小さな村。

 ここに攻め入ったところで何もとれはしない。

 だからこそ今まで戦争とは無縁に育ってきたと言うのに。