絹糸の子どもの子猫ちゃんだ。
しま子の手の中からチョコンと顔を覗かせて、ちっちゃな声で鳴いている。
うわぁ、久しぶりだね。相変わらず、すっごく可愛い。
そっか。子猫ちゃんは治癒の術の使い手だったっけ。
探して連れて来てくれたんだね? しま子、えらい!
褒められて嬉しそうなしま子から、子猫ちゃんをそっと受け取ってお岩さんに渡した。
「お岩さん、子猫ちゃんだよ」
「まぁパールちゃん、来てくれたんですのね。しま子、嬉しいですわ。ありがとう」
お岩さんが、ヒザの上に乗った子猫ちゃんを優しく撫でた。
子猫ちゃんは、親譲りの金色の目をクリクリさせて、お岩さんを見上げる。
そして彼女の腕のあたりの匂いをフンフン嗅ぎ始めた。
さっそくケガに反応しているんだ。さすが優秀だね。
―― ぽおぉぉぉ・・・
子猫ちゃんの鼻先から、透き通る白い柔らかな治癒の光が放たれた時・・・
「・・・・・・にー?」
突然、子猫ちゃんがピクッと顔を上げた。
そして落ち着かない様子で宙を見上げて、ソワソワし始める。
「にー! にーにーにー!」
「子猫ちゃん? どうかしたの?」
「小娘ー? 小娘どこじゃー?」
・・・・・・え? この声は・・・。
「小娘ー。 これ、聞いておるなら返事をせんかー」
やっぱり絹糸の声だ!