・・・前回の雛型の事件。


あれで絹糸が、千才を軽~くオーバーしてるのが判明したでしょ?


いくら神獣ったって、さすがに寿命がきてもおかしくないよね?


だから本気で心配なんだよぉ。



「だからといって我が寝るたびに、鼻の上に手のひらをかざして息を確認するのは、やめい」


「だ、だってぇ! 見ただけじゃ、寝てんのか死んでんのか、分かんないんだもん!」


「我の身にもなれ。目が覚めるたびに、お前の心底怯えた顔が、真上にあるんじゃぞ?」


絹糸が、やれやれとため息をつく。



「あの顔を見ると、ほんに今日あたりお迎えが来そうな気がしてならぬわ」


「ちょっとやめてよ! 縁起でもない!」


「どっちがじゃ」


「あたしはね、心配して・・・・・・!」



―― ホー・・・・・・


言いかけた声に、ウグイスの鳴き声が重なった。



うわぁ、いい鳴き声!


天女が吹く笛の音って、こんな音色かなぁ!


心にじんわりと染み渡るような、うっとりする音色・・・。



「桜にウグイスかぁ。あぁ、日本人に生まれて良かったなぁ!」


「あれは桜じゃなくて梅の木じゃ」


「あ、そうなの? あたし実は、梅と桜って見分けがつかないんだよね」


「お前はほんに日本人か?」