「いやしかし、とうとう秋やなぁ。

秋はやっぱカラオケやで? ミサキ」






「なんでやねん。なんやの、その理論は。

『秋はカラオケ』とか、いっぺんも聞いたことないわ」






「うそやん、いっぺんくらいなら聞いたことあるやろー。


だって『芸術の秋』やんか、音楽の秋やんか。

せやから秋はカラオケや!!」






「ないっちゅーねん、あほか。

あんた頭ん中、お花畑のちゃらんぽらんやから、幻聴聞いてんねんや、きっと」






「あっははー、幻聴かー。

おもろいこと言うなー、ミサキは」







………あたしの毒舌については、これまであたしと出会った人間すべてからのお墨付きだと思うけど。






なぁぜか、たっちゃんにだけは、まったく通じへんねんなぁ。




なんでやろか。






あたしがどんなに手酷く突っ込んでも、たっちゃんはいつも顔色ひとつ変えずに、お花畑な笑顔でへらへらとしているのだ。