家の近くまできて、蒼介さんが
立ち止まった。



「じゃ、明日もまた
迎えに来るからな。」



「うん。」



「いい子にしてるんだぞ。」



そう言って頭をなでる蒼介さんを
見上げる。



「うん。」



「はい、モモ、目、つぶれ。」



「え?」



「決まってんだろ。目つぶれって。」



言われるままに目を閉じた瞬間、
蒼介さんの
唇が優しく重ねられ、
動けなくなる。



「次からキスするときは、
ちゃんと目つぶれよ。
じゃ、
また明日な。」



優しく微笑んで帰っていく蒼介さんの
背中を見つめながら

今日起こったことが、
本当に
現実にあったこととは思えなくて

ふわふわとした気持ちで
蒼介さんを見送った。