「え……っ!」


「…………?」


瑛さんの背中を濡らす雨粒の音が、一つ、また一つと減っていく。


そして、見上げた空は……。


雲が払われ、太陽がのぞいていた。


今まで、雷も鳴っていたのに……。


「……お前……」


瑛さんが体を離し、一瞬で晴れた空を見上げる。


そこには丁寧に虹までかかっていた。


「……お前がやったんだな……」


驚いた顔で空を見上げるあたしに、瑛さんが言った。


「……そうかも……」


あっという間に晴れ渡った空の下で、

瑛さんの髪の毛についた雨粒が、キラキラと光る。


こちらを振り向いた彼は、

この世のものとは思えないほど綺麗だった。


「……やるじゃないか」


虹を写した瞳は、もう寂しげではなかった。


その代わり、ほんの少し細められていて……。


「わ、わ、わ、笑った!!」


「は?」


「今、こっち見て笑った」