「ごめんな。最後まで守れなくて。
傷つけてばっかで」



俺の制服の袖をギュッと掴みながら、震えるこいつ。



小さい体に、たくさん無理させて。




……守られてきたのは、俺の方だ。





「緒方くんは……私のこと守ってくれた……」



「守れてなかったよ。さっきのことも……俺のせいでお前が……」



「そんなの、どうってことない…」




……なんで、そんなこと言うんだよ。



なんでまた、お前は俺をかばう?




「俺のそばにいたら、お前が傷つく。
そんなん、俺が耐えられねぇから」




俺がそっと腕を緩めると、ハム子がギュッとしがみつくように抱きしめてくる。




なぁ、分かってんだろ?




ハム子。



好きだけじゃ、ダメなんだよ。






「今まで、ありがとな」





俺はハム子の体を離すと、耳もとで囁いた。


そしてそっと、ハム子にキスをした。




これが、俺たちの最後。





ハム子。


……大好きだった。