でもそれは子犬がじゃれて甘咬みするのと同じで、私に痛みはもたらせない。ただその部分から、身体中に快感を駆け巡らせる。


唇で。舌で。指で……。


隅々まで愛された私の身体は、まるで真夏の日差しに溶かされたアイスのようにトロトロだ。


「龍之介……好き……」


思考力が低下してうわ言のように名前を呼び、気持ちを伝えれば。


龍之介はそれまで以上の悦びを、私に与えてくれた。


今私は、身体も心も龍之介の熱い想いに埋め尽くされている。


それはこの旅行が始まった時から消えることのなかった不安を消し去り、龍之介のことを信じたくても信じられなかった気持ちを、強固なものへと変えていく。


あまいと言われればそれまでかも知れない。そんな簡単に彼のことを許してもいいの?って……。


今目の前で私のことを愛おしそうに抱きしめ、愛の言葉を囁く龍之介のことを、私が信じなくて誰が信じるというの?


それにこれからは一緒にいる時間が増えて、彼に反省を促すチャンスはいくらでもあるはず。そう思えば、楽しみが増えるといいものだ。


思わずクスッと笑みが漏れてしまうと、龍之介が怪訝そうな顔をした。


「この状態で普通笑うか? …ったく、ホントお前ってバカだよな。バカで可愛い。一生手放してやらないから、覚悟しておけよ」


バカで結構。そう言う龍之介、あなたも相当な馬鹿なんだから。私だって一生離れてあげない。


そしてお互いに止められなくなった気持ちを何度も何度も求め合い愛しあい、夜は深くなっていった。