「ふはっ。」


刹那、二人の籠った笑い声が聞こえてきた。

視線を上げると、二人は、く、く、く、と、声を押さえ込むように顔を隠す。


「…何、…どうしたの?」


ここ、笑うとこじゃ、ないじゃん。


不貞腐れた私を見ながら、翔平君が吹きだした。


「前から思ってたんだけど―――。」


―――――??


「麻友理さんて、実は恋愛の経験、少ないでしょ。」


「ああ。絶対、ガキ、ガキ。」


―――――――!!


「…何とでも、言ってよ。」


むくれる私に、ダイキ君が追い打ちをかける。


「抱かれた男の数だけ増えて、恋愛はお子ちゃま。」


「う…。」


「出来れば、健全な相手と恋愛してみたら?」


「そ。損得なしで、ちょっと駆け引きあるやつ。」


「難しくて、わかんないっ。」


「しゃあねえなぁ。

今時、高校生でも知ってるよ。」


「好きだって言われて、始まるんじゃないの。

自分が好きになって初めて恋愛は始まるの。」


「この人だけなんでしょ?

自分から好きになったのは。

だから、苦しいんだよ。」


「とりあえず、不毛な恋愛ごっこはおしまいだな。」


―――――!!