なるほどね。

じゃあ、芸能人はダメなのか…


きっと共演者の人の中で、湊さんのこと狙ってる人はいっぱいいるはず。

人生って、思うようにはいかないのかなぁ…



「あ。そこのアパートです!」


家が見えてきて、私は自分の家のアパートを指さした。

湊さんは、車をアパートの前で止めてくれた。




バタンッ


車から降りて運転席の方にまわると、湊さんがドアウィンドウを開けた。



「ごちそうさまでした。それと…送って頂いて、ありがとうございます!」

「いいよ。明日休みだろ」

「あ、そっか。でも…助かりました!」


駅から家まで10分くらい歩くし、それに道が暗いから、夜は怖いんだよね。





「じゃあ…また会社で」

「はい…」


湊さんはドアウィンドウを上げ、車を走らせて行ってしまった。

私は湊さんの車が見えなくなったあと、家の中に入った。


なんだか急に、現実の世界に帰って来たような気持ちになり、

今まで湊さんといた時間が、なんだか夢だったかのように思えた。