「ちょっと、龍っ!!」

「んぁ?」

「『んぁ?』じゃないでしょ!離れて」

昨日から龍の様子がおかしい。

今日は朝から、あたしに抱きついて離れないのだから。

「ほら、早く離れて。教科書出せないから」

「ヤダ」

ヤダって……。

とにかく早く離れてもらわないと困るんだってば!

今はお昼休みだから、他のクラスの人が廊下で話している姿が見える。

その中でもひときわ目立つ集団。

一ノ城さん達がいるグループだ。

さっきから鋭い目付きで睨まれてるし、怖いんだってっ!!

「とにかく離れて、ほら早く」

あたしは自分の腰に回されている龍の腕をどかそうと試みる。