保健室に着いたけど、今回も保険医は留守らしい。
え、もう職務放棄の域じゃない?
保険医見たことないんだけど。
しょうがないので勝手に入って
水木さんを部屋の端のベッドに連れていって
予備として置いてある体操服を拝借して水木さんに手渡し、仕切りのカーテンを閉めた。
「早く着替えなさいよ」
「うん!ありがと!」
陽気な声が帰ってきて、私は頭を抱えた。
……あーっ。テスト前の授業って大切なのに。
私って、お人好し…なんだろうか。
というか、さっきの行動はヤバい。
制裁対象を助けた私もファンクラブに目をつけられたりして……嫌だわー。
ため息をついたその時
ガラッと扉が開いた。
「お、ハルナもサボタージュ?奇遇だな、俺もだよ」
現れたのは、つい最近知り合った紫色の頭の男。
…名前なんだったっけ?
「あなたと一緒にしないでください。……し、……し、紫藤、さん?」
「なんで疑問系なんだよ。まさか忘れちゃってたとか?」
「悪い?」
「何故そんなにも堂々としているんだ!?俺怒っていい立場なのに言い返せない!」