「フェイは、これからどうするつもり?」
「騎士に戻るよ。側近であったビヴァリー氏が、今はアウリスを統率(そつ)している。俺も彼の力になって、そして再びアウリスの人々を守るんだ」
「フェイらしいな」
少しだけ、セリシアは微笑む。
その表情(かお)を見て、フェイもまた微笑んだ。
くしゃ、とセリシアの髪を撫でる。
「笑えるようになったんだな」
え? といった顔を、セリシアはする。
無意識だったのだろう。
それがまた、フェイにとって嬉しかった。
「セリシアは、これからどうするんだ?」
「……僕はセヴェールに戻るよ。妖精たちと一緒に、あの廃家を綺麗にして、そこで暮らすん
だ。あそこには、ディオンも眠っているしね」
それに、僕の故郷でもあるから、と続けた。
「そうか。もう行くつもりなのか?」
うん、と言って、立ち上がる。
「グウレイグが奏でるメロディーも聴けたし、そろそろ出発するよ」