出動命令でなければいいな、と思いながらメールを見ると、送信者は丹下雛菊(たんげひなぎく)だった。

 直接関わることは少ないが、明るい気性同士、なんとなく気の会う相手である。


 メールの内容は、花見のお知らせ。

 参加メンバーを見ると、とても料理に期待できそうだ。

 しかも、その日、部活は午前のみ。

 思わず、撫子の瞳が輝く。

 たっぷり運動したあとの、花見!

 というより、花見弁当!!

 幸せ以外の何物でもない。


 だが…

(まさか…ラブリーピンクに変身するようなことがなきゃいいけど)

 心をよぎる、一抹の不安。

 天神学園のメンバーが集まれば、騒ぎが起こらないはずがない。


 悩んだ末、撫子はあっさりと食欲に負けた。

 雛菊に参加の旨のメールを返す。

(どうか、ラブリーピンクだってばれませんように)

 …と、切実に祈りながら。