<そんな、いいものじゃないよ>

<そうだなー、最近ちっとも楽しそうじゃないもんな>

……悪かったわね。


でも、“オレ”は確かに私と慎の様子を見ているんだ。

私は“オレ”からの最初のメールのことを思い出した。


いつもオマエのこと見てます……
“オレ”は、そう言ってくれたよね。


<ねえ、“オレ”って先生じゃないんだよね?>

<うん、違うよ>

あっさり否定されて滝田先生のセンは消えた。

<そうか、滝田先生かと思ったんだけどなー>

<残念だった?>

<ううん別に!>

確か“オレ”は、正体を見破られたときは嘘つかないで認めるって言ってくれたから、本当に滝田先生は違うようだ。

<ってゆーか、本当に用事ないの?>

<うん>

<じゃあ、オレもう寝るから。また明日>

メールの最後には『返信無用』と書かれていた。


「はぁーっ!?」

また今日も勝手に終わったー!


私は携帯を閉じるとベッドに寝転がった。


……でも、なんでだろう。

さっきまでのモヤモヤした気持ちが、少しだけ軽くなった気がした。

私はなんだかとても穏やかな気持ちで、そのまま眠りについた。