痛む上体をあげて見回しても、シャルロッテの姿はない。


「ああ……」


僕はまた生き延びてしまったと悲しくなったが、不思議と涙が出なかった。


“死ぬことを夢見るな”


その言葉ばかりがやけに頭に残る。


痛む体は生きている証、死にたいのに、死にたいのに。


――でも。


「もう……」


死ぬことができないじゃないかと、凍った大地の上、白い息を吐いた。