二つの影は離れ、もはや人の形をしていない。






緑の瞳はさゆりの糸を切ると抱えて地面に降ろした。





紅い瞳はぎちぎちと不気味な音をたて…。
緑の瞳に月の光が写る。




空気が更に冷え、月が雲から完全に姿を現す。緑の瞳は輝き、髪は伸び、牙が見え、爪も鋭さを増して剣のように輝く。全身が月に照らし出された。





紅い瞳の大蜘蛛が襲ってくる!
高い跳躍の後で一本の糸に乗る。糸を吐きかけられる緑の瞳は爪で斬りつけ落下する。
そのまま紅い目を刺した。
胴体に斬りつけ…。シュウシュウと音がした。






「おのれ…。アキラ…。」赤木の姿に戻る。






緑の瞳は尚も刺す。
「今夜は…。満月。ぬかったわ…。緑花蜘蛛の力が増す妖力日。」






ザク!止めを刺す。






そこには赤い…。蜘蛛が一匹死んでいた。





さゆりは近づく。裸足でヒタヒタと音がした。
様子がおかしい。足に力が入らず膝を折る。
毒は体にまだ残っている。肩に痛みが走る…。




緑の君は月を見ている。こっちを降りかえると両手から糸を巻き付け引っ張った。
目の前に連れてこられる。動けない。
怖い…。





ゆっくりと口を開き、牙をさゆりに向けた。ガッチリと体を捕まれる。
声をしぼり出す。