私は二十日大根とワカメなどの具材が豊富のサラダを頬張る。



「椎都さん。新しい料理長の望月丁ーアタルーです」



「はじめまして。望月です」



手が止まり、箸がカチャンと指から落ちた。

…お父さん…?



「どうしたん?」



声を掛けてくれた紀斗さんを見てから、ゆっくりと聞き覚えのある名前の、父親であろう人を見た。



「……憂愛、か?」



「…何で、あんたが…」



ここに居るのだろうか。

私の前に目の前で現れたのだろうか。

どれだけ私たち家族が苦しい思いをしたか。

どれだけ怖い思いをしたのか、わかってて、この街にいたのだろうか。