「悪い、今日は帰せない」




「えっ?」




「朝まで俺の腕の中にいて」




俺はそう言うと、結菜の腕を強引に引っ張り、雨の中を走り出した。




「翔……っ!?」




結菜は驚いたように声を上げる。



ごめん、結菜。




今日だけはワガママ言わせて。




今日だけは




今日だけは、帰せないんだ――…