そのまま地面に崩れ落ちる俺。恒が必死で叫んでいる。



「聡一! しっかりしろ! 今、救急車呼ぶからな!」



ああ、鮫島ジジイとも話していたのに……。自分が被害者家族なら殺してやるって


親父にもあまり出歩くなって言われていたのに



吐血して、体が痙攣する。意識が遠退く……



ダメだ……このまま死んだらラミカが……



「くそ! ショック死とかするなよ! ラミカちゃんを迎えに行くんだろ? 気を強く持て!」


「恒……ラミカに……」


「喋るな!」



ダメだ……聞いてくれ……



「ラミカに……ご……めん……って」




それと、愛してるって……


幸せになってくれ……



真っ暗な空からは激しさを増した雨が落ちてきて、体を濡らしていく。



――『聡ちゃん』




瞼を閉じると、ラミカが俺の名前を呼んで笑いかけてきた。



最後に見たものが、幻聴と幻覚でも



最愛の女でよかった。



ラミカ


ラミカ



ごめん――……





第12話:終わり