「はぁ……」



アウロラにお水をあげながら、思わずため息がこぼれた。



「あ、ごめん! あなたにお水をあげながら失礼だったよね」



お水をあげながらこうして一方的な会話をするのは日常になっていた。今では何でも話せる数少ない友人だ。レミーは気分によって話に混ざって来る。自由気ままな気分屋さんだ。


毎日お水をあげてるけど、いつ咲くかは分からない。前例のないお花だから、誰に聞いても分からない。本にも載っていない。分かってる事と言えば、枯れる時は1日とかからず枯れてしまうという事。まだ枯れていないだけ喜ぶべきなのかもしれない。



「想いの届かない人を好きになってしまったの……諦めようとするのに、会う度に彼の優しさに触れると気持ちは大きくなるばかり……この想いが幸せなのか、そうじゃないのか分からなくなる」



グレース王女の姿がふと頭を過る。


アウロラの美しい蕾にそっと触れた。


虹花の花が咲いたら、それは奇跡に触れる事と同じ……虹花を知る人たちは口を揃えてそう言う。もしもその奇跡を見る事ができたなら、私の心はもっと強くなるのだろうか?


レミーが元気に頭の上にとびのってきた。私が泣いてたり、落ち込んだりしてるとこうして側にいてくれる。



「レミーありがとう。 大好き」



レミーを両手で包み込み、頬っぺたにキスをした。



「レミー、アウロラ、行ってきます」