一週間後の夜。
朱里の携帯電話が鳴り
夜月が会いたいと言ってきた。



口調がいつもと違うので
朱里は気になって
タクシーを拾い、急いで
夜月のマンションへ向かう。



そして、インターホンを鳴らして
夜月が出るのを待つ。



いくら待っても出ない。



もう一度
インターホンのボタンを押すと
やっと夜月の声が聞こえてきた。



「朱里か?」



部屋のモニターから
朱里の姿が見えるが夜月は聞く。



「うん」



「……部屋開いてるから」



少し間があいて言うと
中へ入れる扉が自動的に開いて
朱里は入って
丁度、一階で停まっていた
エレベーターに乗り込んで
夜月の住んでいる
十八階のボタンを押した。



それから十八階フロアに着いて
夜月の部屋へと歩き出す。



部屋のドアの前に着くと
朱里は少し緊張していた
気持ちを落ち着かせてから
ドアに手をかける。



すると夜月の言った通り
鍵が開いていて
あとはドアを開けて
中に入るだけだったが
朱里は何だか勝手に人様の家に
上がるみたいで変な気分だった。



中に入れば
夜月と久し振りに会える。



朱里は静かにドアを開けて
履いていたブーツを脱いで
一歩一歩前に進んだ。



何度か来た事のある見慣れた
夜月の広い部屋。
しかし、今日は部屋全体が
薄暗くて歩き辛かった。
辺りは静か過ぎて、人のいる気配が全く感じられない。