その日の撮影が終わったのは、


 夜の7時だった。


「お疲れさま、花林ちゃん」


 あのわざとらしい笑みを、私に向けてくるあすくさん。


「お疲れ様です」


「今日、花林ちゃんと仕事出来て楽しかったわ。
花林ちゃん、写真とかで見るより可愛いんだもん」


 なにもかもわざとらしく見えてきた。


 私が可愛いわけないし。


 作り笑いに見える、この胡散臭い笑み。


「また、花林ちゃんと仕事したいなー」


 嘘っぽい・・・。


「・・・この後、花林ちゃん暇?」


「何でですか?」


 私の心の声が読まれないよう、ニコッと


 作り笑いを浮かべた。

「俺と一緒にご飯、食べに行かない?
花林ちゃんのこと、もっと知りたいし」


「そうですか。でも私、今日は先約が入っているので。
お断りさせていただきます」


「・・・花林ちゃん、彼氏でもいるの?」


「いません。今日はお母さんとご飯を食べに行く約束がありますので」


 どうして彼氏いるのって話題になるわけ!?


 どう考えても可笑しいでしょ、この展開は!