おかしい。

絶対におかしい。


「ありえない」

「…何が?」

「えっ」

思わず声に出してしまってから、しまったと思った。

「…ああ、天気ね。
まさかあんたが雨女だとはねえ」

隣から含み笑いが漏れた。

―そうじゃなくて!

大声で怒鳴りたかったけど、なんとか抑えた。

ちょうど信号が赤に変わり、車は静かに停止した。


今、私、なぜか佐々岡さんの車の助手席にいたりする。