もう立派な不法侵入になってしまうけど夜中、私は響の部屋に忍び込んだ。



玄関にいつも置いてある響のキーケースから私の部屋の合鍵を外した。



響、私がいつ来ても入れるようにチェーンは使わなかったんだ。



まだその癖が生きてて嬉しかった。



響の部屋に置いてある私の私物はもういいや。



響にプレゼント。



なんて。



違うね。



私を、忘れないでほしいから。



「いままで、ありがとうございました」



響の寝室にむかって深く頭を下げ、部屋を出た。



鍵を掛けて、鍵は後からベランダに投げ込んだ。