季節は冬になり、春になった。
しばらくして、梅雨がきたかと思えば、いつのまにか、カラッと晴れていた。


そんな時、携帯の着信が鳴った。


…光さんからだ。


「もしもし、花憐さん?今から外に出られる?」


「は、はい!」


突然の呼び出しにビックリしながらも、昨年の秋のはじまりの日を思い出す。


“君にそっくりな花をみつけたんだ”


そう、光さんが言っていたのを思い出した。
私は待ち合わせ場所まで走って、息を切らしていた。


「走る事ないのに…大丈夫?」


「大丈夫、です」


ゼーハーと息切れしていて、あきらかに大丈夫では無い。
光さんは、そんな私を見て笑った。


「花屋でも良かったんだけど、それじゃあ感動も薄いから…少し、遠出するよ?そんな遠くないけどね」


…どこへ行くんだろう?


などと考えながら、光さんの車に乗り込んだ。


マフラーと同じ匂い。
香水、変わってないんだ。