【坂下 公子side】



なぜこんな状況になっているのか……。



私は、会って間もない人に手を引かれている。



学校から離れて、もう結構な距離を歩いたのに……。


それでも雨はやまなくて。




「あ……あの…！」



あたしが声をかけると、引っ張られていた手をパッと離される。




「あそこで、あまやどりするぞ」



そう言ってその人が指さした場所には、雨よけになる屋根がある、小さな建物の前だった。



私は、おとなしくついていく。





「あの、良かったんですか？
雅先輩たちを置いてきて……」



そう言って、傘をたたんでるその人を見た。




「あいつは関係ない。俺はあんたに用があってきたから」




用って、傘のことだよね？