「菖蒲、これから散歩に行くがお前もどうだ?」

突然の誘いに戸惑ったが、これもお互いを見つめるいい機会なのではないかと思い、承諾した。

「あの、何処に行くんですか?」

「東峰院家の周りくらいは覚えた方がいい。お前も、家の中だけでは疲れるだけだ。息抜きぐらいは必要だろう?」

「ありがとう、ございます・・・」

「あと、敬語など不要だ。ありのままのお前でいいんだ。
無理に繕う必要もない」

円は円なりに自分の事を受け入れようとしている。

菖蒲はその気持ちが嬉しかった。