森を抜けると、神々しい雰囲気が漂う雹零山に着いた。

日没まであと少し。

神具が祀られている祭壇までは、そんなに距離はない。

このまま何も起こらなければ、すぐに引き返すことが出来るだろう。

「首飾りに、指輪。それから冠か・・・」

不思議なことに、この山に踏み入った瞬間から音がない。

森にいる時には小鳥の気配でさえ、一切感じることがなかった。