こんな時代に生まれた僕は毎日がどうしてこんなにも不満なのか、何が欲しいのかさえわからないでいる。何でもある、何でもできる時代。戦時中のように飢餓を味わうこともない。僕だけがこんなに虚無感を感じているのだろうか?
そんな訳はないだろう。
なぁ、きっと君もそうだろう?誰に問いかけた訳でもない。僕という人間がどこかの誰かに問いかける。
人間の孤独は永遠に続く、孤独は埋め合うものだろう?そう誰かが言っていたような。今を楽しもう。そんな馬鹿げた話はいらない。そんなものは僕という人間は大嫌いだった。
そんなものは、今だけ見る事は、僕にとっては少し理解し難かった。

幼き日に僕は施設に置き去りにされた。
僕を置き去りにした理由なんかはわかるはずもない。
それからと言うもの実の親でもない他人と幼少気からずっと暮らしていた。
僕の暮らしてきた家庭はある大企業の家庭で、地元でも一番有名だった。知らないやつはいない。他人がみて育ちが違うと言われるほど何も不自由ない、完璧な家庭。そして、気品ある両親に育てられた。