ミーンミンミンミン、ミーンミンミンミン


「もう、うるさーい！」


外に向かって私は思いっきり叫んだ。
だけど蝉はさらに大きな音で鳴き続ける。

ただでさえ部活後で疲れてて集中出来ないってのに！


夏休みも半分を過ぎた。
部活がいっぱいあるけど私は結構遊べていた。

10日前は日菜子と真紀と加恋の4人で近所の川で水遊びしたし。

先週は成績優秀な真紀に宿題を教わったし。

3日前にはおばあちゃんとおじいちゃんの3人で花火もした。

そして今日は近所の神社で行われる夏祭り。

6時に駄菓子屋で加恋と真紀と待ち合わせ。

日菜子は東京に住んでるイトコの家に旅行中なんだ。


夕方になっておばあちゃんに浴衣を着せてもらった。


紺地に大きな牡丹の花が咲いている。

肩のあたりまで伸びていた髪の毛には薄ピンクのヘアクリップを着けた。


「千花、かわいいよ」


おばあちゃんにそう言われ鏡の前で1回転して見せた。
我ながら似合ってると思った。