家に帰って玄関を開けると、この休みの間に、
一体何があったんだろう…と目を疑うほど、家の中がごちゃごちゃになっていた。
まさか、泥棒?
ゆっくりと玄関を閉め、リビングに入ると、
カーテン締め切ったまま、洗い物もゴミもたまりっぱなしの光景が広がっていた。
ソファーで寝ているお母さんを見つけると、
駆け寄って肩を揺すった。
「お母さん、お母さん」
お母さんはゆっくりと目を開けた。
「あぁ…優衣」
お母さんはゆっくりと起き上がった。
「どうしたの?何があったの?」
たった一ヶ月半ほど会っていなかっただけなのに、
お母さんはずいぶんと痩せてしまっていた。
「どうって…あぁ、今日は優衣が帰ってくる日だったのね。
おかえり。
おじいちゃんとおばあちゃんは元気だった?」
「元気だったよ。それよりも、なんでこんなに部屋がぐちゃぐちゃなの?
何があったの?」
お母さんは、深いため息をついた。
「あぁ…ごめんね。
なんだか疲れちゃって。
今から片付けるから」
お母さんはゆっくりと立ち上がると、落ちているゴミを拾い始めた。
私はとりあえずエアコンのスイッチを止めて、
カーテンと窓を開け、
空気を入れ替えた。
「お兄ちゃんは?」
お母さんは一瞬手を止めてから、またゴミを拾い始めた。
「さぁ…夕方には帰ってくるでしょう」
私も一緒に片付けだすと、机の上に一枚の紙を見つけた。
お父さんの名前と印鑑……
これって……
「お母さん、これ…」
お母さんは、拾ったはずのごみをぶちまけた。
そして、頭を抱えてしゃがみ込み、声をだして泣き始めた。
「お母さん!落ち着いて!」
落ち着いてと背中をさすりながら、
前から離婚する気がしていた私は、やっぱりね…と心の中で思った。