見慣れない校舎の前に立ち、私は気持ちを落ち着ける為に、深呼吸を した。

大丈夫。

まだ何にも、始まってないんだから。

昇降口のガラスドアに貼られた紙の中から、自分の名前を捜す。

「……在った。」

私は、1つの名前に目を留める。

――桜 海崎(さくら みさき)。

それが、私の名前だ。