ケータイ小説 野いちご

Calling -true name-

aim.01 B



B先輩という人がいた。


派手なサークルに属しているとか、メジャーな寮に住んでいるとかでもないのに、有名だった。

どんな時も、とりあえず色あせたジーンズにスニーカー。

暑い日でもTシャツの上にカーキのパーカーを羽織って、涼しくなるとそれがモッズコートに変わる。


構内で見かける時は、たいてい走っている。

と言っても全力疾走しているわけではなく、ちょっと急いでます、という感じに身軽に駆け足をしている。

もしくは、足早に歩いている。


あんまり見た目に頓着しないんだろう、髪はいつもぱさぱさと適当に浮いていて、ラフといえば聞こえはいいけれど、年中寝起きみたいにも見えた。

人と群れているところは見たことがない。

たらんと長い上着のポケットに両手を突っこんで、いつもひとりで、どこかに向かって急いでる。


誰に聞いても、なぜ彼が有名なのか説明できる人はいない。

だけど誰もが、彼を知っている。



B先輩。


これは私が彼と過ごした、ひと夏の物語。





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