屋根の上にユイは腰かけた。

(熱くて、何だか今日は眠れない…)

パジャマのままでぼんやりと上を見上げる。
と、ちりばめられた白い宝石の中に浮かんだ月が視界の中に映った。

(満月か…)

昔、満月の夜には狼が人間に変化する。

という話しをユイは母親から聞かされていた。

が、結局信じられずにいた。

(そうよ、人狼なんてこの世にいる訳ないじゃない。・・・
第一、いるのならば、今、この場にいても不思議じゃないものね。それがいないんだもの)

等と言う無茶苦茶な考えをしながら、ユイはしばらくの間、その場に座っていた。

・・・・・

音もなく白い光のかけらが流れ、消えていく。

流れ星である。

(あたし・・・人狼の事思っていた・・・)

それは星への願いとして、伝えられてしまったのだろうか?

流れ星はシャワーとなって、夜空からこぼれ落ちて行く。

「きれーぇ・・・」

心の中でつぶやいたはずの言葉は、口の中から出ていた。

・・・・・

空一面に流れる光の粒。

ユイの心を捕え、離そうとはしない。

その中の一つが次第にユイに近づいて来た。

「なぁに?」

光はユイの前まで来ると小さい塊、人型になった。

シュパーァーァー・・・